お金と労働と地球株

~無能が30代で資産1億円を達成した方法~

1. 現代のお金

1-10. 地球上で増え続けるお金

本章では現代のお金について考えてきました。 ポイントは以下のとおりです。

本章の主要な結論は、お金は地球上で増え続ける、ということです。 現代の通貨制度では借金によってのみお金が生まれ、その借金には利子がつくため、地球全体の借金(同時にお金)は構造的に増え続ける仕組みになっています。 これは理論上の話に留まらず、実際にもそうなっています。 現代のお金は、長い目で見れば構造的に増え続けます。

逆に、お金が銀行に返済されれば、お金の総量はその分だけ減ります。 ということは、地球全体で「貸出<返済」となれば地球全体のお金が減ります。 短期的にこのような状態になることは確かにあります。 しかし今日、ある国で不況により「貸出<返済」という状況が発生した場合、その国の政府は全体のお金の量を維持しようとして銀行からお金を借ります(参照:1-5. 民間部門全体のお金)。 よって、当該国でも、ひいては地球全体でも長期的には「貸出>返済」となり、お金はやはり増え続けます。

本サイトのスコープは特定の国ではなく、あくまで地球全体です(参照:1-4. 利用者全体のお金)。 それを踏まえて、あらためてお金の発行者と利用者という大きな枠組みでお金の全体像を俯瞰します。 現在地球上のほとんどの国で、お金は銀行(中央銀行+民間銀行)が独占的に発行しています。 そのお金は銀行からの貸出を通じてのみ利用者に供給されます。 地球上の全ての「お金の発行者」を連結したバランスシートと、同じく地球上の全ての「お金の利用者」を連結したバランスシートは、それぞれ以下のようになります。

まず、お金の発行者にとって、お金は負債です。 一般に現金は中央銀行が発行するため、現金は中央銀行の負債になります。 また、一般に預金は民間銀行が発行するため、預金は民間銀行の負債になります。 いずれにしても、銀行システム全体では、発行したお金は全てバランスシート上の負債として計上されます。 一方、資産には国債や貸付金等の貸付債権が計上されます。 個々の国ではなく、地球上のお金の発行者全体のバランスシート上では、資産と負債は同額であり、純資産や純負債はゼロです。

次に、お金の利用者の状況を見ていきます。 お金の利用者のバランスシートは、発行者のバランスシートの資産と負債をそっくりそのまま逆にしたものになります。 利用者にとってお金(現金+預金)は資産です。 一方、お金は借金としてのみ供給されるため、負債にはそれらの借入債務が計上されます。 国債は政府の借金であり、借入金は企業や家計の借金です。 個々の国ではなく、地球上のお金の利用者全体のバランスシート上でも、やはり資産と負債は同額であり、純資産や純負債はゼロです。 なお、民間部門が引き受けた国債は、民間部門のバランスシート上では資産として、政府のバランスシート上では負債として計上されます。 しかし、利用者すべてを連結したバランスシート上では、それらは相殺されます。

なお、お金の発行者も利用者も含めた、地球上の全経済主体のバランスシートを連結すると、お金も借金もすべて相殺されて無くなります。

【補足】ここではお金と借金だけに着目していますが、それらを含めた資産全体と負債全体もまた、地球上の利用者全体を連結したバランスシート上では同額となり、純資産や純負債はゼロです。 なぜなら、誰かの資産は誰かの負債になるはずですが、その「誰か」は全員地球上にいるからです。 もしこの連結バランスシート上で資産か負債のどちらかが多い、ということになれば、地球外の宇宙人に対して貸し借りがある、ということになってしまいます。

利用者全体のバランスシートに負債として計上されている借入債務には利子がつきます。 しかし、前述のとおり、その利子分のお金はこの時点で地球上に存在していません(参照:1-9. 全体で常に足りないお金)。 その分のお金を発行できるのは「お金の発行者」である銀行だけです。 銀行からお金を借りれば、そのお金にまた利子がつきます。 このようにして、地球上のお金は構造的に増え続けます。


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1-10. 地球上で増え続けるお金