お金と労働と地球株

~無能が30代で資産1億円を達成した方法~

2. ピンハネシステム

2-1. 地球上の経済システム

私たちは資本主義経済の中で生きています。 ここでいう資本とは、事業の元手となるお金や、工場などの生産要素を意味します。 資本主義とは「持ち主」最強の世界です。 この世界では、強い人間でも賢い人間でもなく、単純に資本を持っている人間が極端に優遇され、彼らにお金が集まります。 この点は資産形成の方法を検討する上で非常に重要です。 財産を増やすために、必ずしも能力が高い人間である必要はないからです。 財産と能力の大きさが必ずしも比例しないことは、無能な筆者でも1億円の純金融資産を構築できたことから、まさに身をもって正しいと言えます。

それでは、資本主義に替わる経済は考えられるのでしょうか。 今日までに、人類は3つの経済システムを考案しました。 資本主義、社会主義、共産主義です。 いずれの経済体制であっても、モノやサービスを生産するためには「資本」と「労働」が必要です。 資本は資本主義の社会だけにあるものではなく、社会主義や共産主義の社会にも存在します。 また、どの経済体制であっても、資本が労働によって増えていくことに変わりはありません。 資本だけがあっても、人間の労働がなければこの世界は豊かになりません。

では各経済体制で何が異なるのでしょうか。 それは、誰が資本を持つか、ということです。

資本主義以外では、そもそも個人が資本を占有できません。 よって「資本の持ち主が最強」といったことは、個人レベルでは起こり得ません。

【補足】どの経済体制にも資本は存在するという意味で、資本主義という名称は分かりにくいと思います。 あくまで資本の持ち主が異なるという点を強調し、資本主義は「私有」主義、社会主義は「国有」主義、共産主義は「共有」主義とでも称した方が、個人的には分かりやすかったのではないかと思います。

さて、3つの経済システムの中で、結果として資本主義が勝ち残りました。 なぜ資本主義が勝ち残り、地球全体に拡がったのでしょうか。 それは端的に言えば、資本主義が効率的だからです。 資本主義では、個々人がそれぞれ利益を求めて競争します。 競争により、常により良いモノやサービスが効率的に生み出されます。 このメカニズムによって、副作用として格差が拡がったものの社会全体としては豊かになり、やがて資本主義が地球全体を席捲するようになりました。

【補足】競争を促す仕組みは資本主義だけでなく、現代の通貨システム自体にも内在しています(参照:1-7. 利子がもたらす競争と成長)。

一方で、社会主義には競争がありません。 国がモノやサービスの生産や分配を計画し、その計画に沿って労働者が動くだけです。 競争がないため、魅力的なモノやサービスが生まれず、生産性も上がりません。 そのため、社会主義を採用した国は、格差はないものの全体が貧しくなってしまい、ことごとく失敗しました。

2018年現在、社会主義とされる国は中国、北朝鮮、ベトナム、キューバ、ラオスの5か国のみです。 このうち、中国は事実上の資本主義を導入して一気に豊かになり、今やGDPで日本を抜き去って世界第二位の経済大国となりました。 もはや社会主義国とは言えず、実際にはアメリカに次ぐ資本主義国であると言えます。 逆に、日本は一般に資本主義国として分類されていますが、一方で「世界で最も成功した社会主義国」だと揶揄されることがあります。 戦後の日本は、資本主義の皮をかぶった事実上の社会主義国でした。 にもかかわらず、日本は高度経済成長を成し遂げました。 社会主義の唯一の成功例は日本かもしれません。

ちなみに、共産主義は一度も実現しませんでした。 共産主義を標榜する国もありますが、本当に共産主義であれば「みんな平等」なはずですから、資本を占有する主体は居ないはずです。 すなわち、そもそも政府といった権力者も存在できないことになります。 しかし、実際にはそのような国はありません。

以上、3つの経済システムを見てきました。 資本主義が進行すると、やがて極少数の資本家が大多数の労働者を支配する構造になります。 社会主義は資本主義に対立する経済システムとされていますが、民間の資本家の代わりに国家が唯一の資本家になっているだけであり、その構造は資本主義と変わりません。 また、現代の資本主義は既に国家を超えて地球規模で展開されています。 共産主義もまた労働者のグローバル化を志向しており、その行き着く先は資本主義のそれと本質的に同じです。 結局のところ、何主義であろうと、少数グループがお金によって多数グループを支配する、という構造は変わりません。

いずれにしても、今日では資本主義が地球標準の経済システムになっています。 格差の問題を抱えつつも、他の経済システムに対して圧倒的な競争力を持っているため、今後も地球全体で資本主義が継続するものと見込まれます。


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2. ピンハネシステム

2-1. 地球上の経済システム