お金と労働と地球株

~無能が30代で資産1億円を達成した方法~

4. 実際の運用

4-3. 無能がすべき事は節約のみ

一般にお金を増やそうとする場合、どのような行動が考えられるでしょうか。 基本的にやるべき事は以下の3つしかありません。

  1. 収入を増やす
  2. 支出を減らす
  3. 資産を運用する

【補足】ここでは、負債は無いことを前提にしています。 もし負債があるなら、上記の3つよりも「負債を減らす」ことを優先しなければなりません。 特に住宅ローンを組んで家を買うと、あとはローン返済のために働き続けるしかなく、運用どころではなくなります。 ポートフォリオのほとんどが個別リスクたっぷりの不動産1つで占められてしまい、巨額の負債を抱えて利子を払い続けることになるからです。

一方、前節で「当面のゴール」を達成するために実践すべき事として、「節約」と「地球株への投資」の2つを挙げました(参照:4-2. 当面のゴール)。 つまり「収入を増やす」は最初から度外視し、「支出を減らす」と「資産を運用する」の2つに絞っています。 このうち「資産を運用する」については、投資先が地球株のみに限られるため、特に工夫の余地がありません。 よって、無能を自覚している会社員が頑張るべき事は「支出を減らす」、つまり節約の一点のみです。 本節ではこの点について順を追って説明します。

まず「収入を増やす」ことについて検討します。 収入を増やすために誰もが考ることは、一生懸命働いて給料を上げることでしょう。 しかし、あなたが筆者と同様に無能な人間であれば、これは割に合わない行動であると考えられます。 給料を上げようとすれば、社内で他の社員との競争に打ち勝ち、出世する必要があります。 それができるのであれば、もはや無能でも何でもありません。 また、先に述べたとおり、給料とは「それ以上の労働」に対する見返りに過ぎません。 資本主義経済の下で労働者として頑張ることは、資本家のためにはなっても本人のためにはならず、そもそも割に合いません。 さらに性質の悪い点として、給料が増えると税金も増えます。 会社のために給料以上に働くことになるという仕組みの中で、加えて政府への支払いも増えるということです。 つまり、収入を増やすために頑張って働くことは極めて効率が悪いのです。

それでは、会社を辞めて起業すれば良いのでしょうか。 有能な人はそうすれば良いかもしれませんが、無能を自覚しているのであれば、この戦略は論外です。 会社員すら務まらない人が、起業などとんでもありません。 更に激しい競争にさらされます。 仮に筆者が起業しようものなら、収入を増やすどころか、下手したら餓死してしまいます。

要するに、収入を上げようとすれば社内であろうと社外であろうと競争して勝つ必要があります。 しかし、私たちにはその競争力がないのです。 この領域で頑張っても仕方がありません。 会社員としてクビにならない程度に働き、一定の給料を確保できれば十分です。 後述するように、日本企業の会社員はそう簡単にはクビになりません。

ところで、首尾よく収入を増やすことができたのであれば、それはもちろん喜ばしいことです。 しかし、一般に収入が増えると支出も増えるため、注意が必要です。 いくらお金を稼いでも、その分使ってしまっては意味がありません。 お金は「稼ぐ」よりも「残す」ことが重要です。

続いて「支出を減らす」ことについて検討します。 これこそ無能な人でも実践できる、そして各々のやり方で工夫すべき唯一のことです。 「収入を増やす」こととは異なり、節約であれば、誰かと競争することなく取り組めます。 節約により支出が減ることで、たとえ収入が増えずに一定であっても、着実に利益が増えていきます。 この利益が資産運用のための原資となります。 「支出を減らす」ことこそ、競争力のない無能な人が唯一取り組める領域です。

最後に「資産を運用する」ことについて検討します。 これは当然に必要です。 当面のゴールとは、労働による収入ではなく資産がもたらす収入のみで生きていけるようになることだからです。 しかし、運用にあたって困難なこと、工夫すべきことは一切ありません。 理由は単純で、やるべきことは「地球株の保有」のみだからです。 まず、投資すべき資産は「地球株」一択です。 これ自体が株式の全集合であるため、他の株式なり国なりを選択する余地がありません(参照:3-3. 地球株式会社)。 また、その運用方法は単に「保有する」だけであり、事実上何もしません。 資産運用に関する本は山ほどありますが、地球株を保有する戦略を取る限り、能力も労力も、あるいは考えることすら一切不要です。

強いて言えば、地球株を定期的に買う必要があります。 それについては、現在多くの証券会社にて、指定のファンドを定期的に自動で買い付ける「自動買付」サービスを提供しています。 これを設定しておけば本当に何もする必要がありません。 筆者もそういったサービスを利用しているため、1年に1回(大体年末)程度しか証券会社のサイトにログインしないくらいです。 つまり運用といっても、日本円が地球株に自動で置き換わった結果を極たまに確認するだけです。 筆者のケースは極端かもしれませんが、実のところ運用にかける時間は1年のうち1分程度に過ぎません。

このように、私たちが何か工夫したり頑張ったりすることがあるとすれば、それは唯一節約のみとなります。 無能な者はジタバタと動き回っても何も得られず、空回りして疲れるだけです。 重要なことは「何をするか」ではなく「何をしないか」なのです。


お金と労働と地球株

4. 実際の運用

4-3. 無能がすべき事は節約のみ