お金と労働と地球株

~無能が30代で資産1億円を達成した方法~

1. 現代のお金

1-1. お金が生まれるとき

私たちが「お金」と聞いてパッと思い浮かべるのは、一万円札や千円札だと思います。 お金にはこれらの「現金」と、目には見えない「預金」があります。 では、このうちメインで使われているお金はどちらでしょうか。 それは預金です。 地球上では2017年末時点で約1京円(87.9兆ドル)のお金(現金+預金)が流通しており、そのうち預金が実に9割を占めます。 日本人は比較的「現金好き」な国民ですが、その日本でも約9割は預金です。

預金はどのように私たちの世界に供給されるのでしょうか。 預金は「誰かが民間銀行から借りる」ことで新たに発生します。 これが私たちの世界に新たなお金が供給される唯一のルートです。 私たちは日々の生活の中で誰かからお金をもらったり借りたりしますが、 それらのお金の元を辿ると、必ず誰かが民間銀行から借りた預金に行きつきます。 現代のお金はすべて借金なのです。

預金は「民間銀行」が発行するお金です。中央銀行ではありません。 以下、「銀行」とは民間銀行、あるいは民間銀行と中央銀行を合わせた銀行システム全体を示す言葉として用います。 さて、銀行は貸し出すためのお金をどこから調達するのでしょうか。 実際にはどこからも調達しておらず、貸出の際に預金口座の数字を増やすだけでお金を発生させています。 借り手は、預金残高を確認すると数字が増えており、さっそくその数字をお金として使えます。

私たちは一般に「銀行は個人や企業から集めた預金を貸し出す」のだと思い込んでいますが、実際のプロセスは全く異なっています。 銀行は貸出の際に、全くの無から新たな預金を生み出しています。 これは銀行だけが行使できる「信用創造」という機能です。 なお、信用という言葉が分かりにくいので、本サイトでは信用創造を「預金創造」と言い換えています。

それでは、銀行はいくらでもお金を作り出せるのでしょうか。 原理的にはそのとおりです。 預金は通帳やディスプレイに表示された単なる数字に過ぎないため、物理的な制限はありません。 無制限に発行できる数字という意味では、預金はカード会社が発行する「ポイント」のようなものです。

さて、貸出によって銀行と借り手のバランスシートはそれぞれ次のようになります。 銀行が新たに発生させた預金は、銀行のバランスシートでは負債として計上されます。 私たち「お金の利用者」にとって預金は「預け金」という資産ですが、 「お金の発行者」である銀行にとって預金は「預り金」という負債になります。 また、この負債と同額の貸付金が資産として計上されます。

【補足】銀行の貸出では、簿記の仕訳上「貸付金 / 預金」となります。 このとき、貸方(右側)の預金を「資産の減少」と捉えてしまうと混乱の元となります。 銀行にとって預金は資産ではなく、最初から負債なのです。 つまり、この貸方の預金は「負債の発生」です。

一方、借り手側では資産として預金が計上されると同時に、同額の借入金が負債として計上されます。 銀行側でも借り手側でも、新たな資産と負債が同時に同額発生するため、純資産や純負債は発生しません。 この点は、世の中全体のお金を考える上で後ほど重要になります。

このように、現代のお金はほとんどが預金であり、預金を発行できるのは預金創造の機能を持っている民間銀行だけです。 そして新たな預金は、誰かが民間銀行から借りない限り、私たち「お金の利用者」の世界には供給されてこないのです。


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