お金と労働と地球株

~無能が30代で資産1億円を達成した方法~

1. 現代のお金

1-8. 利子がもたらす格差

利子は直接的にも間接的にも、私たちの経済生活に深く根差しています。 お金を借りた人は、元金に利子を加えて返済することになるため、借りた以上のお金を失います。 逆にお金を貸した人は、貸した以上のお金を得ます。この利子分は純粋な不労所得になります。 以上は利子が直接的に働くパターンであり、私たちにとっても馴染み深いものです。 しかし、利子は私たちが普段意識しにくい領域でも間接的に働いています。

私たちが利子というものを考えるとき、一般に預金や借金に伴う狭い意味での利子を連想します。 しかし、広い意味ではあらゆる経済活動に利子がかかっています。 会社は通常、借金をして事業を行っているため、商品の価格にはその借金の利子分も含まれています。 また、政府は税金を徴収して、その一部を国債の利払いに充てます。 ということは、たとえ借金が一切無い人であっても、何かを買ったり納税する、要するに普通の生活を送っているだけで膨大な利子を間接的に支払っています。

逆に株式や債券を持っている人は、広い意味での利子を受け取ります。 彼らが利子として受け取るお金は、直接お金を借りた人が負担するのはもちろんのこと、間接的に社会全体でも広く負担されています。 そして利子は複利で増えるため、直接的にも間接的にも「受け取る人」と「支払う人」の格差は自動的に拡がっていきます。 注目すべきことは、利子を伴うお金のシステムそのものが、一部の層にお金を自動的に集中させる機能を持っていることです。

【補足】児童文学作品「モモ」は、現代の通貨システム(特に利子)の問題を暗示した寓話だという解釈があります。 このことは経済学者オンケンが初めて指摘し、作者エンデ自身がそうであることを認めています。

利子は古代から存在し、現代の通貨システムでは必要不可欠なものです。 しかし、多くの社会や宗教で利子は危険視されてきました。 アリストテレスは著書「政治学」の中で「貨幣が貨幣を生むことは自然に反している」と述べています。 また、キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教、みな一様に利子に対して否定的です。

【補足】唯一ユダヤ教だけは例外で、身内以外には利子を課すことを認めていました。 旧約聖書には「異邦人には利子を付けて貸し付けてもよい。ただし、あなたの兄弟に貸すときには利子を取ってはならない」と記されています(申命記23章20)。 ユダヤ人は、苦難の歴史を生き抜く過程で金貸しの技術を高めていきました。

古代の人々は、利子が不自然な存在であり、不労所得によって貧富の差を生み出し、やがて社会全体にとって不安の種になるということを、現代人である私たちよりも深く認識していたのかもしれません。


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1-8. 利子がもたらす格差