お金と労働と地球株

~無能が30代で資産1億円を達成した方法~

3. 地球株

3-3. 地球株式会社

前節で、株式投資はプラスサムのギャンブルなのだから全体に掛ければ良い、と述べました(参照:3-2. プラスサムゲーム)。 お金はすべて借金として発行されるという仕組み上、地球上で長期的に増え続けます(参照:1-10. 地球上で増え続けるお金)。 また、そのお金はピンハネシステムの働きによって集金アイテムの持ち主、特に今日では株主の元に集まります(参照:2-7. 労働のピンハネ)。 そして、お金も会社もすべて地球上にあり、宇宙に出て行くことはありません。 よって、株式投資は全体のパイが大きくなるプラスサムゲームになっています。 そうであれば、原理的に不可能な予想に頼って個別株を選択するのではなく、ただ全体に掛ければ良いことになります。

そこで、地球株の概念を導入します。 地球株とは次のようなものです。 仮に地球上の全ての上場企業の親会社があるとします。 さしずめ「地球株式会社」といったところです。 この会社が発行する株式のことを、本サイトでは「地球株」と呼びます。 地球株を買えば、地球上の全上場企業を、市場全体と同じ割合で保有しているのと同じことになります。

一般に株式投資では、個別の株式や複数の株式セット(ポートフォリオ)を売買します。 しかし、現代では各企業が地球規模で競争しており、一体どの企業が勝ち残るのか、事前には誰にも分かりません。 このことは企業に限らず、長期的にどの業界、どの国が勝ち残るのかも、やはり誰にも分かりません。 つまり、どの株式、あるいは株式ポートフォリオを保有すべきかは、不確かな予想に頼らざるを得なくなります。 いくら地球上でお金が増え続けるといっても、そのお金がどの企業に集まるのかは不明です。 しかし、確かなことが1つあります。 それは、全ての企業が地球上にある、ということです。 よって、地球上の企業全体が生み出すリターンを適切に受け取ろうとするなら、投資対象は地球株以外にあり得ません。

別の言い方をすれば、私たちは株式の部分集合ではなく「全集合」を持つ必要があります。 企業単体で不十分なのは当然として、ある業界だろうと、ある国だろうと、部分集合ではダメなのです。 その業界なり国なりが予想に反して振るわず、他が躍進する可能性を排除できないからです。 全集合であれば、個別の会社、業界、国の隆盛はどうでも良いことになります。

これは、全ての株式をただ網羅して保有しておけば良い訳ではなく、その割合は地球上の株式市場全体のそれと合っていなければなりません。 たとえば、仮に日本と海外の株式を半々の割合で保有した場合、地球全体では数パーセントに過ぎない日本株を、50%も抱えることになってしまいます。 つまり、全株式をカバーしていると同時に、その割合も地球上の株式市場全体と同じものでなければなりません。 これは地球株に他なりません。

地球全体では無く「勝ち組」の国、たとえばアメリカ全体で良いのではないか、という見解もあるかもしれません。 現在の資本主義の王者はアメリカであり、実際「米国株」の方が地球株よりリターンが大きいです。 地球株は良くも悪くも全体の平均なのです。 それでも、本サイトは地球株を推奨します。 なぜなら、アメリカと言えど、いずれは世界一の国ではなくなるかもしれないからです。 そうなれば、長らくアメリカの株式市場に引き寄せられていたお金は、次の覇権国に移動します。 その場合、米国株への投資は長期的には失敗だったことになります。

地球株の保有とはこういうことで、ある国がある時代に好調だとしても、その国のみへ集中的に投資することはありません。 短期的には勝ち馬をみすみす逃すことになるため、この戦略はある種の人には難しいものです。 世界経済の動向や投資に詳しい人ほど、勝ち馬に賭けたくなる衝動に駆られてしまうことでしょう。

逆に、一見衰退している国を外すことも賢明ではありません。 たとえば、日本は経済が長らく成長しておらず、少子高齢化によって今後も衰退していくと予想されることが多いです。 しかし、本当にそうなっていくのかどうか、正確には誰にも分かりません。 可能性は低いかもしれませんが、バブル期のように再び急成長を遂げるかもしれません。 その場合、日本株を投資対象から外したことは長期的には失敗だったことになります。

【補足】個人的には、やはり日本人として、再び日本が豊かになって欲しいと思います。 しかし、地球株で資産を保有している限り、日本がどうなろうと資産への影響は少ないです。 残念ながら日本がこのまま衰退していけば、地球株の中で日本の比率が自動的に下がるだけです。 逆に成長していけば、同比率が上がるだけのことです。

つまり一国全体への投資であっても、地球全体から見ればまだ部分集合に過ぎず、その意味では個別株への投資と同じです。 結局は勝つ国を予想しなければなりません。 個別株や一国全体への投資の場合、その企業や国が今後も成長し続けるか、お金を引き寄せ続けられるかどうかが重要になります。 それが事前には誰にも分からないのです。 一方、地球株の場合は予想が一切不要になります。 なぜなら、企業はすべて地球上にあり、お金も地球の外へは出て行かないからです。 心配すべきことは、資本主義、あるいは資本主義に基づく株式会社制度が今後も地球全体で続くかどうか、これだけです。

各企業は利益を求めて競争するため、成長する企業もあれば潰れる企業もあります。 しかし、地球上の企業全体としては長期的に成長し続けます。 すなわち、地球株式会社の純資産(=地球上の全上場企業の純資産合計)は、長い目で見れば増加していきます。 地球株の持ち主は、地球上の株式市場全体の縮小コピーを持っているのと同じであり、地球上の企業全体が生み出すリターンをそのまま享受することになります。 これが地球株保有の効果です。


お金と労働と地球株

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3-3. 地球株式会社