本サイトでは、地球株を保有することで無能でも簡単に資産を増やせることを示してきました。 実際に筆者はこの方法により、1億円の純金融資産を構築しました。
しかし、お金が地球上で株式以外の資産にも行き渡ることを考えれば、本来は地球株に限定せず、地球株を含めた投資可能な資産全体、いわば地球全体の縮小コピーとなるポートフォリオを構築すべきです(参照:4-4. リスク資産は地球株のみ)。 そうすることで、地球上で増え続けるお金を可能な限り漏れなく捕捉できるからです。 そのようなポートフォリオを、ここでは便宜的に「地球PF」と名付けます。
今日、一般庶民が広く投資可能な資産クラスは、株式、債券、不動産(REIT)、商品(コモディティ)です。 このうち、地球全体で債券市場と株式市場が非常に大きく、この2つで全体のほとんどの割合を占めます。 2018年現在、地球上の債券市場は1京円強、同株式市場は6000兆円強であり、債券市場が株式市場の2倍近い大きさです。 これらに比べれば、不動産(REIT)市場および商品市場は、いずれも微々たる割合です。 すなわち地球PFとは、地球株、地球債、地球不動産、地球商品を、上記のような実際の地球上の構成割合に合わせて保有するポートフォリオです。 もちろん、各資産クラス間の割合だけでなく、各資産クラス内の割合も実際の地球上のそれと同じになります。 地球株を検討する際、個別の企業やセクター、あるいは国について一切考慮せず、あくまで地球上の企業全体の保有を目指しました。 この考え方は、地球債、地球不動産、地球商品についても同様です。
それでは、なぜ最初から地球PFではなく、ここまで地球株のみに注目して来たのでしょうか。 特に、なぜ株式以外の資産クラス、とりわけ地球上で株式よりも大きな割合を占める債券をここまで度外視できたのでしょうか。 それは、日本企業に勤める会社員は既に巨額の疑似債券「会社員債券」を保有しているからでした(参照:4-6. 会社員債券)。 このため、会社員はしばらく地球株だけを増やしていくことに専念していれば良かったのです。 その意味で、ここまで述べてきた「地球株の保有」という戦略は、地球PFの構築という原則的な戦略に対して、一般的な日本人の状況に限定した特殊ケースであったと言えます。
ところが年月を経るにつれて、会社員債券は確実に減少していく一方で、地球株の割合が大きくなっていきます。 やがて「ポートフォリオ内で債券の割合だけが圧倒的に大きい」という状況を脱して、本当の債券や他の資産クラスにも目を向ける必要が出てきます。 このとき目標とすべきポートフォリオこそ地球PFです。 ここでは、地球PFを構成する各資産クラスについて具体的に検討します。
まず、株式クラスについては引き続き地球株への投資および保有を継続します。 株式は今日もっとも資産が増えやすい最重要の資産クラスです(参照:3-1. 株式の実績)。 その中で地球株は、理論的に最も分散が効いたポートフォリオであることに変わりはありません(参照:3-6. 地球株のリスク)。 他の資産クラスに目を向けると言っても、原則として地球株を売ることはありません。 資産を売却すると税金が発生してしまうからです。 地球株への積み立て額を減らすか、地球株の割合があまりにも大きい場合はいったん積み立てをストップします。 そうして発生した資金余力を、地球PFの構成割合に合わせて他の資産クラスに振り向けていきます。
債券クラスは、もっとも扱いが複雑になる資産クラスです。 先に述べたとおり、純粋な地球PF内では債券の割合が一番大きくなります(参照:4-4. リスク資産は地球株のみ)。 一方で日本企業の会社員である限り、若い頃より減少しているとはいえ、現行のポートフォリオにも依然として会社員債券が残っています。 また中年にもなれば、今後発生する年金も視野に入れておく必要があります。 年金はある年齢以降継続的に発生する収入なので、会社員債券と同様に疑似的な債券「年金債券」と見なせます。 その額は、当然寿命に依存するために推測値となりますが、毎月の各収入の割引現在価値を合計することで求められます。 さて、最終的に追加すべき債券クラスの割合は、理想とする割合から会社員債券分と年金債券分を差し引いた割合となります。 このとき注意すべきポイントは、新たに投資すべき債券は地球債ではなく、地球債から日本分のみを除いた外国債券になるということです。 なぜなら、会社員債券と年金債券はいずれも疑似的な日本債券であり、日本分については既に過剰だからです。 結論として債券クラスについては、理想の債券クラス割合を目指して、会社員債券および年金債券をもってしても足りない分についてのみ外国債券を積み立てていきます。
【補足】2018年現在、先進国はどこも歴史的な超低金利を記録しています。 金利が低いことは、債券価格が高いことと同じです。 つまり、現在は世界中で債券バブルの様相を呈しています。 この状況下では、債券の代わりにその分をキャッシュのままにしておいても良いかもしれません。
不動産クラスについては、個別の物件ではなく、やはり地球全体の不動産に投資することを目指します。 個別の物件への投資は、個別株への投資と同じくリスクが極めて大きいです(参照:3-6. 地球株のリスク)。 地球株の不動産版、いわば地球不動産でなければなりません。 今日、個人がこれを行うには、リートETF等の活用が現実的です。 これは、地球株への投資をインデックスファンドやETFで実現しようとした「4-5. 地球株の実現」の考え方を不動産クラスに適用するものです。 なるべく地球全体の不動産に投資できるように各リートETFを組み合わせ、地球不動産を実現します。 こうして作った地球不動産に、理想の不動産クラス割合を目指して積み立てていきます。
最後に商品クラスについて説明します。 本来であれば、商品クラスにおいても他と同様に、なるべく地球商品の実現を目指すべきです。 今日、小麦や大豆といった農産物、金銀銅などの金属、あるいは原油などのエネルギーに投資可能なETFがあり、これらを組み合わせることで不完全ながらも地球商品を実現することはできます。 しかしながら、これらの商品ETFは手数料が高いです。 どうしても現物商品の保管コストが価格に上乗せされてしまうためです(コンタンゴ)。 いくら疑似的に地球商品を実現できると言っても、コストが高くつくのであれば本末転倒です。 今後、コモディティETFのコストが十分に安くなれば、地球商品の組成および積立を検討できます。しかし、2018年現在の水準ではとても無理です。
そこで、今後もコモディティETFのコストが下がらない場合、商品クラスについては大きな妥協が必要になるかもしれません。 筆者は、商品クラス全般をゴールドで代替してはどうかと検討しています。 ゴールドは代表的な投資商品であると同時に事実上の地球通貨でもあります。 また、ゴールドだけであれば、比較的安価に保有が可能です。 ゴールドへの投資については現物の保有、現物への積立投資、金ETFなど様々な方法があります。 本来であれば現物を手元に置いておきたいところです。 というのも、そもそも現代のお金自体が「実際に預かったゴールド以上のお金を発行する」という詐欺行為から生まれたものだからです(参照:1-2. 【参考】預金の発行プロセス)。 そう考えれば、現物が手元に来ない積立投資や金ETFには100%の信用を置けません。 また、その他の資産クラス(株式、債券、不動産)ではいずれもペーパー資産を持っているに過ぎないため、その意味でも本当は現物のゴールドを手元に持っておきたい思いもあります。 しかし実際問題、ゴールドバーを何本も手元に持っていては盗難のリスクの方が大きいです。 よって現実的な観点から、投資が容易であり手数料も比較的割安な金ETFの活用がベターだと思います。 ゴールド(あるいは商品全般)への投資では、その他の資産クラスとは異なり、利息が発生せずにコストだけが発生します。 その意味で、このクラスはあくまで保険的な意味合いも強いです。 商品クラスにおいては、理想の商品クラス割合を目指して、金ETFを積み立てていきます。
【補足】商品クラスを金ETFで代替するという方法は、あくまで2018年現在の状況下で検討している、筆者の今後の予定です。 数年後の状況の変化(たとえばコモディティETFのコストが大きく下がる等)によっては、異なる行動を取るかもしれません。
以上のとおり、若い頃は地球株を増やすことに注力し、長じては地球株を含めた「地球PF」を構築すべく、他の資産クラスも増やしていきます。 といっても、実はどちらの行動も地球PFの構築という同じゴールに直接向かっています。 日本企業に勤める若い会社員の場合、前述のとおり既に多くの疑似債券を持っているため、当面は地球株だけを増やしていくことが地球PFの形成にあたって最も合理的です。 これまでの筆者もその状態でした。 一方、外資系企業やベンチャー企業に勤めている、あるいは個人事業主である、といった場合は、会社員債券の考え方を適用できません。 よって、最初から債券クラスを重視すべきです。 もし会社を辞めるのであれば、会社員債券そのものが消失するため、本当の地球債を増やしていく必要があります。 「既に債券も株式も十分に持っている」という人は、それ以外の資産クラスへの投資をスタートさせても良いでしょう。 このように、地球PFの構築というゴールは同じであっても、各人が置かれた状況によってその手段は異なります。 結局のところ、お金は地球上で増え続け、地球上の各種資産に集まります。 そう考えれば、個々人の状況を勘案しつつ、誰であっても最終的には地球PFを持つべきだという結論になります。
【追記】2022年5月より、約2億円に膨れ上がった「地球株」メインのポートフォリオを、少しずつ「地球PF」に移行しています。運用状況をブログで発信しています(参照:地球PF運用ブログ)。